他者に対し助けてあげなければならない状況にも関わらず、周囲に多くの人がいる事によって援助行動が抑制されてしまう集団心理効果を傍観者効果といいます。
キティ・ジュノヴィーズ事件

1964年にニューヨークで起こった婦女殺害事件です。
この事件は深夜に自宅アパートでキティ・ジュノヴィーズが暴行に襲われた際に、彼女の叫び声で付近の38人が事件に気づき目撃していたにも関わらず誰一人警察に通報せずに助けにも入らなかったというものです。
結局暴漢がその後二度現場に戻り彼女を傷害、強姦したにも関わらずその間、助けには来ず彼女は死亡してしまいました。
キティ・ジュノヴァーズ事件によって多数の目撃者がいたにも関わらず何の援助も無かった事件を「都会人の冷淡さ」として大々的に報道したが、心理学者のビブ・ラタスとジョン・ダーリーは、全くの逆の解釈を発想しました。
その解釈とは「多数の目撃者がいたにも関わらず援助が無かった」のではなく、「多数の目撃者がいたからこそ援助が無かった」という発想であった。
傍観者効果の実験

ニューヨーク大学の学生を対象に行われました。
学生に集団討論会(大規模なディベート)に参加してもらう機会を作り、この討論中に学生のうち1人がてんかんの発作を起こしてしまうという緊急事態を作り出しました。
学生は
- 2名のグループ
- 3名のグループ
- 6名のグループ
上記の3つのグループに分かれて一人づつ個室に移動し、マイクとインターホンを使って順番に発言し討論を行う事の説明を受けます。
その説明を受けている最中に参加者の一人が突然苦しみだし助けを求めます。
しかしは発言の持ち時間が終了してしまい、マイクが切れてしまうという緊急事態を起こします。
実際には被験者以外の参加者はいないのです。全てテープに録音されたものです。
被験者は自分たち以外にも討論に参加していると思っています。
その中で緊急事態を被験者が廊下にいる実験者に知らせるかどうか、また知らせた場合にどのくらい時間がかかったのかを調べました。
その結果
2名のグループでは自分たちしか参加者がいない為廊下にいる実験者に迅速に報告する結果となりました。
しかし6名グループのように他の参加者もいると思った場合には報告率が圧倒的に低く、報告した場合でおかなりの時間がかかってしまったのです。
ニューヨークで行われた別の実験

ドアの下から煙が漏れ出てくるのを見かけた場合に通報するのかどうかを調べました。
目撃した人の中にあたかも緊急事態など起こっていないように振舞う練習をした人を混ぜておきます。
そして二人でいた場合に他に一人が目撃した際は75%が、その自体を通報しました。
しかし同じ煙の漏れを3人グループが見た場合には、通報したのは38%に過ぎませんでした。
その中でも最も行動を起こす人の割合が少なかったのは3人のうち2人が煙を無視するように指導されていたグループはこの煙の漏れを通報したのはわずか10%にとどまりました。
傍観者効果が起こってしまう原因

- 責任の分散
- 評価懸念
- 多目的無知
責任の分散
自分がしなくても、誰かが行動するだろうという他社と同じ行動をする事で責任や非難が分散されるだろう判断してしまうこと。
評価懸念
行動を起こして失敗した際の他社のネガティブな評価に対する不安から援助行動が抑制されること。
多目的無知
周囲の人が何もしていないのだら、援助や介入に緊急性を要しないだろうと誤って判断してしまうこと。
傍観者効果の例

電車で席を譲る行為
電車での席を譲ってあげられない行為などは他の人が多数いる為、自分がしなくても誰かが席を譲って
あげるに違いない、という意識があります。
会議の席での質問や意見
会議の席などでは上司など大人数いる場合がありわからない事や自分の意見があるにも関わらず的外れだったら恥ずかしい、みんなが言わないから自分も言わないといった傍観者目線で会議に参加しているケースが多々あります。
傍観者効果が発動しない為には

傍観者効果を言うのは人間のバイアスの為どうしても取り除くのは難しいでしょう。
しかし傍観者効果を言うのは人がするから必要ないと思っていたり恥ずかしいからといったとてもネガティブな発想から行動できないでいます。
間違っていたら恥ずかしいと思わずに最初に行動してみることをオススメします。
もし間違っていたり恥ずかしい思いをしたとしてもそれは笑い話になります。
しかも周りは傍観者で自分一人はしっかり行動した人間です。
どちらが良いかは考えなくてもわかるでしょう。
キティ・ジュノヴァーズ事件のように人命にかかわる事件だと行動した際には後悔はありませんが
行動しなかった場合のは後悔が残ります。
恥ずかしいことなど無いと腹を常日頃くくっておく事が自分への勇気を与えてくれます。
まとめ

傍観者効果はやってあげなければいけない行動を周囲が多数いる事で本来しなければいけない行動
が抑制されてしまう心理効果
その原因には責任の分散、評価懸念、多目的無知がある。
傍観者効果は誰しも一度は経験があるのでそのバイアスにかからないように常日頃から恥ずかしがらず
誰かがするだろうという考えをやめ、行動していくことです。